教育コラム
10代というのは成長期、思春期、反抗期、そして受験…と、子どもにとって不安定な状態が続きます。
ささいなことで反抗したり、体の成長に心の成長が追いつかなかったり、不要なコンプレックスをいだいたり心の中は「不満」と「不安」でいっぱいです。
簡単な解決方法はありませんが、私が心がけていることは「子どもの心を安定させる」ことであり、そのために重視すべきは次の3点だと考えています。
①場所…1週間単位で「ここなら安心」という場所があればグッドです。
家庭、学校など…細分化すると食卓、勉強部屋、教室、グラウンドなどをイメージしてください。
②時間…登下校や休み時間、部活中、食事中など1日の中で落ち着く時間が確保できれば、こちらもグッドです。
③人間関係…大人(指導者、保護者)との関係、次に先輩、後輩、同期、チームメイトとの関係で
安心、信頼できる人間関係を築くことができれば大丈夫です。
現実的にはこれらの要素がうまく組み合わさってくれば、不安定な心の状態を緩和してくれます。
したがって学業成績上位の子どもは他の子どもより悩みは少ない、とかチームの主力選手は控えの子より心が安定してると言い切れるほど単純なものでもありません。
次回、続きを書きます。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第235回】
シティーメイト2025 11月号掲載
2025-11-06 20:00:39
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勉強ができる子、できない子の差が顕著に現れるのは、その子のかばんの中です。
絶対ではないのですが、できない子のかばんの中はやっぱりぐちゃぐちゃです。
英語のノートに数学の宿題が入っていたり、半年前の保護者への手紙があったり・・・。
では、かばんの中がぐちゃぐちゃになる原因ですが、子どもの頭の中では、授業が終われば、すぐに帰りたい、遊びたいという気持ちになります。
そのため、机の上の教材をかばんに入れる作業は、ごみをごみ箱に入れるのと同じになります。
家庭で、教室で次に勉強するとき、どのように保管すれば自分にとって能率が上がるかは考えません。
授業が始まるとき、準備がいちばん遅いのはこのタイプの生徒です。
さて、この打開策ですが、魔法のような言葉はありません。
「宿題は終わったの?」「テスト勉強は大丈夫?」のかわりに「かばんの中を見せなさい。今日、習ったところはどこ?」「宿題はどれですか?」を日々言い続けてください。
相当な時間とエネルギーを消費しますが、子どものなかに「おこられるから、ちゃんとやろう」「かばんの中がきれいな方がはかどるなあ」という気持ちがでてくれば、一歩前進です。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第234回】
シティーメイト2025.10月号掲載
2025-09-30 18:47:48
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生きているかぎり「楽しくないこと」ひんぱんにおとずれます。
運の悪い日にはまとめて来ます。
「また赤信号か」みたいな些細な事から「えっ交通事故」のように大きなことまで、何もしなくてもやってきます。
では「楽しいこと」はとなると幼少期にはお誕生日、ご入学のような日は来てくれますが、大人に近づくにつれて、その数は減っていきます。
どうすれば「楽しいこと」に出会えますか?となると「自分で取りに行く」しかありません。
努力、勉強、練習、鍛錬、勇気みたいな言葉で説明できる類です。
そのプロセスにおいて、辛いこと、苦しいことは必ず来ます。失敗、挫折もあります。
ただ、この経験を重ねていくと、人間として強くなります。
そして、5年か10年に1回ぐらい「本当によかった」と心から思える日が来ます。
子どもに説明するのは少しむずかしいのですが、その判断が社会的にまちがっていたり、無謀でなければ
「やりたいことが見つかったら、思いきってやりなさい」
「今、やるべきことを忠実に果たしなさい」「ゆきづまっても、大丈夫」という表現で教えるようにしています。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第233回】
シティーメイト2025.9月号掲載
2025-09-02 20:00:58
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普段より多くの課題、困難な課題を与えたとき、生徒さんの気持ちは次の3つに分類されます。
1.よしがんばるぞ 2.テスト前なんでがんばるか 3.無理です、できません 1と2は問題ないのですが、3の生徒は指導の対象となります。
「なぜ無理ですか」の問いに「時間がありません」「他の科目の練習もしないと」などパターン化された返事がかえってきます。
では、なぜそのような返事をするか
1.これまで努力して克服した成功体験が不足している
2.できなかったときの自己防衛のため発してしまう の2点に要約されます。
このタイプの生徒さんを放置しておくと自分に自信のもてない生活を続けることになります。
そして、ここからが大切です。
できない理由をすぐに言う人間がチーム、組織にいると士気が下がります。
本人に悪意がなくても、周囲は不快な気持ちになり、やがて切られます。
本人に自覚がないだけ、この失敗は長期にわたってくり返します。
厳しい言い方になりますが「できない理由を言う人間」=「信頼されない人間」となります。
逆に「頼られる人間」は「まずやってみよう」と考えます。
若いうちに、このことを絶対に身につけさせておくべきだと考えています。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第232回】
シティーメイト2025.8月号掲載
2025-07-29 20:08:23
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高1の生徒さんと話していると、多くが「数学がむずかしい、わからない」って言います。
中学時代と比べたら進度、内容ともに格段にむずかしくなります。
そのあと「英語はどうですか?」とたずねたら「中学時代の貯金があるから大丈夫です」と返事がかえってきます。
たしかに、数学とちがって、英語は丸暗記してしまえばなんとかしのげます。
ところが、高2の半ばあたりから「英語がわからなくなってきた」という相談がくるようになります。
本当は高1スタート時につまづいているのですが、本人は「なんとかなる」と思っていて、大学入試の英語に触れるようになると「どうしたらよいのかわからない」状態になっていきます。
私はそのような学生さんに学年、学力は関係なく、高1文法にもどって説明します。
句と節、形容詞、副詞、前置詞、5文型、12時制をじっくり教えます。
2ヶ月あれば十分です。
これが理解できれば、あとは手順通りに進めます。
「英文法読解が苦手です」と相談に来られる生徒のほぼ全員が左の基本文法が備わっていません。
「基本なくして応用なし」です。
make it a rule to~という構文を知っている受験生は多いと思いますが、ここでの“it”が形式目的語であると理解できている受験生は少ないと思われます。
基本を正しく理解していけば、必ず勝てます。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第231回】
シティーメイト2025.7月号掲載
2025-07-15 18:31:55
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来年高校受験を控えた生徒さん、保護者を対象にもうすぐ学校説明会(オープンハイスクール)がはじまります。
私としても第一志望を含め、3校ぐらい参加するように勧めています。
さて、ここからが追加になるのですが、保護者の方に「可能なら土曜日の午後など、子どもとドライブ気分で学校の雰囲気を見てきてください」とお願いしています。
例えば三田市に公立高校が4校ありますが、2時間ぐらいですべての高校を見ることができます。
構内には入れないときは交通ルール、マナーには十分配慮して、少しクルマの窓を開けて、空気を味わってください。
登下校する生徒さん、予選を前に気合を入れている野球部員の声、ブラバンの個人練習の音などなどを見て、聞いて、感じてください。
お母さん、お父さんには何十年か前の思い出がよみがえってくるかもしれません。
不思議なもので、親の「この学校に行ってほしいな」と、子どもの「この学校に行きたいな」は高確率で一致します。
ほんの少し年上の先輩が高校生活をエンジョイしている姿を見るだけでも、受験生には学習意欲をかきたてることがよくあります。
ひとつだけ…時代が時代なので大人だけでウロウロしたり、写真を撮ったりするのは控えた方がよいと思います。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第230回】
シティーメイト2025.6月号掲載
2025-06-03 20:53:09
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スポーツ選手や営業職のような方には「結果がすべて」のような評価方法があります。
ある意味当然なことだと思います。
では18歳ぐらいまでの子どもに同じ価値観で評価することが正しいかと言えば、やはり酷だと思うのです。
反面、目標や夢のある子どもに「負けても気にするな」「無理しなくていいよ」という指導も無責任です。
個人的には、もっともっと人生の後ろの方で「あのとき努力しておいてよかった」と思えるような生き方をしてほしいとのぞんでいます。
そのために、目の前の勝ち負け(結果)には大いにこだわる。こだわるから喜びも負けたくやしさも経験できる。
自分よりすごい人間の存在を正しく理解する。
死ぬほど努力すれば、その人間に近づける。
今は勝負するのか、安全策でいくのか判断をする。
悩んで悩んで全く前に進めないこともある。
経済的、環境的なハンディキャップがあっても言い訳をせず、正しく受け入れる。
結果を求めることは正しいことですが、その過程で子供がたくさん学んで、感じて成長していくことも同等に価値のあることだと思っています。
お母さんが、子育ての際、この2つの考え方のバランスを意識してくださればうれしく思います。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第229回】
シティーメイト2025.5月号掲載
2025-06-03 20:25:14
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今回は「負けぐせ」について書きます。
例えば…でお考えください。
「そろそろ塾に行こうかな」という状況で、子どもの頭の中で「勉強がむずかしくなってきた」「もっとよい成績をとりたい」「友達が誘ってくれた」など気持ちが前へ向いていたら問題はありません。
ところが、お母さんが「次のテストで成績が下がったら塾に行かせるから」って言ったら、子どもの頭の中では「塾に行かされる」という罰ゲームのような気持ちが生まれます。
そして「成績が下がらない程度にがんばろう」となって、目標設定は「現状維持」となります。
時間が進むにつれて、まあまあの努力しかしてこなかったので、成績は必然的に下がります。
これが「負けぐせ」のついた状態です。
このような経験を何度かくり返すと、向上心がもうひとつ、依存心が強くなり責任転嫁するようになります。
よいことはひとつもありません。
これは本人の資質よりも保護者、指導者など、 大人の責任と考えています。
シンプルな解決策は…ですが、「成績が下がったら」よりも「成績が上がったらおこづかい1000円アップしまーす」の方が効果的だと思うのです。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第228回】
シティーメイト2025.4月号掲載
2025-06-03 19:57:03
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重要な局面で、よい方向に進む人とそうでない人がおられます。
よく「勝ちぐせのある人」「負けぐせのある人」という言い方をします。
今回は「勝ちぐせ」について書きます。
以前、スポーツの指導者とこの話をすると次のように言われました。
「本当に強いチームは内容がどんなに悪くても試合には勝ちます。絶対に格下の相手に負けることはありません。勝ってなお反省して、更に強くなります。だけど、ここまでくるのに長い間、負け続けたり勝ったり負けたりのプロセスが必ずあったのです。それを理解しておかないと、格上の相手に勝つのは不可能なんです。」
さて、個人の成長に置き換えても同様だと思うのです。
「えらいなあ、すごいなあ」っていう子は必ずいます。
しかし、それまでにくやしい思いをしたり、負けることを経験して、がんばって克服した結果であって、ずう~っと勝ち続けたのではないのです。
「勝ちぐせのある人」とは負けのくやしさを知っているのです。
反面、素質に恵まれて、早いうちに上位にいる子もいます。
ただし、油断、過信をして途中で失速して、埋もれる子もたくさんいます。
大した努力もせずに勝ち続けることはありえない、と教える責任が大人にあると思うのです。
次回は「負けぐせ」について書きます。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第227回】
シティーメイト2025.3月号掲載
2025-06-03 18:36:31
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今のところ子どもに求められていることを簡単に表すと「自分で問題点を見つけて」「自分で考えて」「自分で判断して」となります。
公立高校入試、大学共通テストもその方向に変化しています。
では、その場で考えれば正解を導くことができるか、となるとそういうわけにはいきません。基礎学力の定着、知識と経験の集積が先になります。
これは人生のいろんな局面に通じることであり、入試傾向の変化には個人的には賛成の立場です。
もうひとつ、今の子どもの特徴として、「やるべきことの意味」を説明すれば、「やってくれる」ことが挙げられます。「言われなくてもわかるでしょう」という指導では不十分です。
したがって、大人が子どもを指導する手順は次のようになります。
①今、やるべきことを具体的に説明する。
②基本、反復をおろそかにしない。
③子どもが判断できる課題には判断させる。個人差、年齢差はかなりあります。
①②をとばして③はむずかしいです。
大人も、子どもも失敗、躊躇することもありますが、ぜひチャレンジさせてください。
③の領域まで到達できればグッドです。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第226回】
シティーメイト2025.2月号掲載
2025-02-07 18:42:52
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