教育コラム
私が子供の頃、多くの大人から「第一印象が大事だからちゃんとしなさい」と言われて育ちました。
今でもその考えは正しいと思います。
ところが大人になって、子どもを指導する立場になると、この「第一印象」というのが邪魔になって仕方ありません。
例えば、子どもと最初に出会ったとき、「この子は~タイプの生徒」のように脳にインプットしてしまいます。
2週間ぐらい授業をすると「学力はこのあたり」とインプットしてします。
しかし、半年ぐらいたって成績が出そろったとき「この子は意外とがんばっている」と「もっとできるはずなのに、なぜ?」のような気持ちになることがひんぱんにあります。
「意外に」とか「もっとできるはず」の基準が、実は最初に作られた「第一印象」というやっかいなもので、ここから抜けられずにいると、目の前の子どもが正しく見えなくなります。
さらに、子どもは日々変化、成長しているので、最初に作られたイメージを消す作業が必要となります。
子どもを正しく見ることができれば、たとえば、テストの点数は、それが現在の実力であって「意外に」という考え方が不要であると理解できます。
成績の上下動は指導の参考にすべきですが、第一印象に縛られると、正しい指導が困難になることがあります。
大人がよく引っかかる罠だと心得てくだされば…と思います。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第241回】
シティーメイト2026 5月号掲載
2026-04-30 18:16:48
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春になると保護者から「高校に入ってついていけるでしょうか」「新しいクラスでやっていけるでしょうか」などの相談をよく受けます。
環境がかわる時期に、子どもを心配するお母さんの気持ちは十分に理解できます。
さて、ここからが問題になります。
子どもは新しい環境の中で必ず前に出なければなりません。
「勉強と部活との両立を…」と子どもが決意したとき、どうしても「勉強がおろそかになるから、部活はほどほどにしなさい」
あるいは「先生、友だちによく見られるために、いい子にしていなさい」などは正論であり、否定すべきではありません。
ただ、お母さんが子どもの将来を思う、心配するがゆえ、子どものチャレンジ精神を抑制してしまうことがあります。
心の強い子は反発してくれますが、そうでない子は委縮して、次のステップにうまく進めなくなります。
いろんな要素を加味しなければいけませんが、
子どもに言うべきか
信頼して任せるべきか
自由にやらせてみるべきか
を吟味しながら接してくだされば、少なくとも子どもはお母さんの気持ちを正しく理解してくれると思うのです。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第240回】
シティーメイト2026 4月号掲載
2026-04-09 19:54:40
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これまでたくさんの生徒さんをおあずかりしてきました。
そのなかで成績が急上昇する子どもが必ずいます。私が特別な指導をした訳ではありません。
もちろん、生徒自身の潜在能力との関係はありますが、それよりも意力、要領、達成感などが背景にあります。
具体的には、勉強の方法、得点を取るコツなどを身につけたときに成績が上がるのです。
ただし、この領域に到達するまでに、一定の努力の継続と試行錯誤が不可欠です。
初めて自転車に乘れたとき、初めてさか上がりできたとき…の感覚です。
私自身、経験の浅かったころは次はこれ、その次はこれ、と子どもに判断させずに、ひたすら課題を与えていました。
昭和の時代はいわゆる根性勉強だけでも通用したのですが、今ではむずかしいと考えています。
今は「教える、やらせる」に「考えさせる、判断させる」を加味しなければなりません。
一方的にやらされる事になれた生徒にはどうしてもひ弱さが残ります。
これからは少し時間を要しても「子どもの成長を信じて待つ勇気」が大人に求められます。
繰り返し同じ失敗を続けるのは指導の対象になりますが、チャレンジしての失敗ならば、それは子どもの将来の財産になるので、むしろ評価してください。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第239回】
シティーメイト2026 3月号掲載
2026-03-10 18:36:27
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「いい学校に合格する」とどのようなメリットがありますか?
就職や次の進路に有利になる。
全国レベルの大会を目指せる。
目標達成の喜びを感じられる。
プライドが満たされる。
など、いずれも正しい考えであり、否定する理由はありません。
私自身も生徒さん、保護者の方から、そのような思いを託されて、努力しています。
ただ、学歴だけが全てではない。という考え方も間違いではなく、尊重すべきと思います。
これらのことをふまえて、塾生のみなさんには「できるだけいい学校に進みなさい」と指導していますが、最大の理由は自分と同等の能力、あるいはもっとすごいクラスメートと出会う機会がぐんと広がるからです。
そのような仲間にたくさん出会って、切磋琢磨してお互いの能力を高めあう、というのがひとつの理想になります。
この考え方は
「すぐれた技術を身につけるには」
「自分の能力で社会貢献するにはどのような努力をすればよいか」
という問いに対するひとつの回答となります。
学校の名前や指導者が自分を鍛えてくれる一面も事実ですが、そこで出会う友が自分をたくさん鍛えてくれるのです。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第238回】
シティーメイト2026 2月号掲載
2026-02-03 19:28:51
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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
入試まで100日を切りました。受験生のみなさま、保護者の方々、がんばって乗り越えてください。
今回のタイトルは受験界では定番の格言です。このことについて述べたいと思います。
人間の記憶力というのは時間の経過とともに薄れていきます。昨日の出来事はよくおぼえていても、半年前のことはあまりおぼえていません。当たり前ですね。
これは受験勉強についても同様です。夏休みの間の勉強を思い出してください。じっくり考え、何度も反復して定着した知識、記憶は入試で使えますが、なんとなく適当にやった勉強は脳ミソから引き出せません。
しかし、これから先の勉強は、たとえうろおぼえでも、本番の試験でなんとか解くことができるものです。
すなわち入試前の1時間の勉強は、夏休み5時間ぐらいの勉強に相当します。
1時間さぼることは、夏休み1日さぼるのと同等と、とらえてください。
体調管理、メンタルコントロールも大切ですが「明日がんばろう」は負けのはじまりです。必ず「今日がんばるぞ」に切りかえてください。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第237回】
シティーメイト2026 1月号掲載
2026-01-06 19:35:29
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前回「子どもの心を安定させる」要素として場所・時間・人間関係の3つを挙げました。
現実的には、これらの要素が組み合って子どもに影響を与えます。
広域には「人間関係」がペットと置きかわるなども問題ありません。
また、子どもの資質、環境、年齢などによって異なります。
時間とともに変化していきます。
したがって、この課題において、大まかな指示は示せても、全ての子どもに当てはまるマニュアルはありません。
子どもに勉強部屋を与えても、ゲームばかりして、勉強するときは食卓におりてきて…のように、親が良かれと思ったことが裏目に出ることもひんぱんに起きます。
では、どのように子どもに接するべきかという課題ですが「シンプルに」というのが、私の結論になります。
「善悪を明確にする」
「ほめるときは、ほめる」
「子どもに判断させる、まかせる」
「決して子どもを支配しない」
「見返りを求めない」
私自身の経験ですが、むずかしい言葉を並べるより、シンプルに伝えるほうが、子どもの心は安定すると思うのです。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第236回】
シティーメイト2025 12月号掲載
2025-12-02 17:59:41
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10代というのは成長期、思春期、反抗期、そして受験…と、子どもにとって不安定な状態が続きます。
ささいなことで反抗したり、体の成長に心の成長が追いつかなかったり、不要なコンプレックスをいだいたり心の中は「不満」と「不安」でいっぱいです。
簡単な解決方法はありませんが、私が心がけていることは「子どもの心を安定させる」ことであり、そのために重視すべきは次の3点だと考えています。
①場所…1週間単位で「ここなら安心」という場所があればグッドです。
家庭、学校など…細分化すると食卓、勉強部屋、教室、グラウンドなどをイメージしてください。
②時間…登下校や休み時間、部活中、食事中など1日の中で落ち着く時間が確保できれば、こちらもグッドです。
③人間関係…大人(指導者、保護者)との関係、次に先輩、後輩、同期、チームメイトとの関係で
安心、信頼できる人間関係を築くことができれば大丈夫です。
現実的にはこれらの要素がうまく組み合わさってくれば、不安定な心の状態を緩和してくれます。
したがって学業成績上位の子どもは他の子どもより悩みは少ない、とかチームの主力選手は控えの子より心が安定してると言い切れるほど単純なものでもありません。
次回、続きを書きます。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第235回】
シティーメイト2025 11月号掲載
2025-11-06 20:00:39
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勉強ができる子、できない子の差が顕著に現れるのは、その子のかばんの中です。
絶対ではないのですが、できない子のかばんの中はやっぱりぐちゃぐちゃです。
英語のノートに数学の宿題が入っていたり、半年前の保護者への手紙があったり・・・。
では、かばんの中がぐちゃぐちゃになる原因ですが、子どもの頭の中では、授業が終われば、すぐに帰りたい、遊びたいという気持ちになります。
そのため、机の上の教材をかばんに入れる作業は、ごみをごみ箱に入れるのと同じになります。
家庭で、教室で次に勉強するとき、どのように保管すれば自分にとって能率が上がるかは考えません。
授業が始まるとき、準備がいちばん遅いのはこのタイプの生徒です。
さて、この打開策ですが、魔法のような言葉はありません。
「宿題は終わったの?」「テスト勉強は大丈夫?」のかわりに「かばんの中を見せなさい。今日、習ったところはどこ?」「宿題はどれですか?」を日々言い続けてください。
相当な時間とエネルギーを消費しますが、子どものなかに「おこられるから、ちゃんとやろう」「かばんの中がきれいな方がはかどるなあ」という気持ちがでてくれば、一歩前進です。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第234回】
シティーメイト2025.10月号掲載
2025-09-30 18:47:48
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生きているかぎり「楽しくないこと」ひんぱんにおとずれます。
運の悪い日にはまとめて来ます。
「また赤信号か」みたいな些細な事から「えっ交通事故」のように大きなことまで、何もしなくてもやってきます。
では「楽しいこと」はとなると幼少期にはお誕生日、ご入学のような日は来てくれますが、大人に近づくにつれて、その数は減っていきます。
どうすれば「楽しいこと」に出会えますか?となると「自分で取りに行く」しかありません。
努力、勉強、練習、鍛錬、勇気みたいな言葉で説明できる類です。
そのプロセスにおいて、辛いこと、苦しいことは必ず来ます。失敗、挫折もあります。
ただ、この経験を重ねていくと、人間として強くなります。
そして、5年か10年に1回ぐらい「本当によかった」と心から思える日が来ます。
子どもに説明するのは少しむずかしいのですが、その判断が社会的にまちがっていたり、無謀でなければ
「やりたいことが見つかったら、思いきってやりなさい」
「今、やるべきことを忠実に果たしなさい」「ゆきづまっても、大丈夫」という表現で教えるようにしています。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第233回】
シティーメイト2025.9月号掲載
2025-09-02 20:00:58
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普段より多くの課題、困難な課題を与えたとき、生徒さんの気持ちは次の3つに分類されます。
1.よしがんばるぞ 2.テスト前なんでがんばるか 3.無理です、できません 1と2は問題ないのですが、3の生徒は指導の対象となります。
「なぜ無理ですか」の問いに「時間がありません」「他の科目の練習もしないと」などパターン化された返事がかえってきます。
では、なぜそのような返事をするか
1.これまで努力して克服した成功体験が不足している
2.できなかったときの自己防衛のため発してしまう の2点に要約されます。
このタイプの生徒さんを放置しておくと自分に自信のもてない生活を続けることになります。
そして、ここからが大切です。
できない理由をすぐに言う人間がチーム、組織にいると士気が下がります。
本人に悪意がなくても、周囲は不快な気持ちになり、やがて切られます。
本人に自覚がないだけ、この失敗は長期にわたってくり返します。
厳しい言い方になりますが「できない理由を言う人間」=「信頼されない人間」となります。
逆に「頼られる人間」は「まずやってみよう」と考えます。
若いうちに、このことを絶対に身につけさせておくべきだと考えています。
【おかあさん、深呼吸しましょう 第232回】
シティーメイト2025.8月号掲載
2025-07-29 20:08:23
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